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共同発表:光で「生きたまま」微生物を高密度濃縮できるハニカム基板を開発~有用微生物の濃縮によるバイオマス利用技術の革新に期待~ - 科学技術振興機構

ここでは、本研究の主な成果として、ハニカム光濃縮基板を用いてレーザー照射による細菌の捕捉を行った結果について説明します。対象とする細菌の例として、グラム陰性菌であり桿菌(棒状の細菌)である緑膿菌と、グラム陽性菌であり球菌である黄色ブドウ球菌(球状の細菌)を用いました。図1Cの上段はハニカム高分子膜の隔壁に40mWのレーザー出力で光発熱集合を行った場合の生細菌(緑色)と外膜損傷を受けた細菌(赤色)の蛍光イメージです。100μmに及ぶ広範囲でハニカム高分子膜に対し細菌が密に集積され、死菌(赤色)がほとんどいないことも分かり、レーザー照射後に細菌を集積した基板を培養液に浸漬して培養したところ細菌が増殖することも確認しています。一方、比較実験として、従来法で用いてできた平坦な金属ナノ薄膜(平坦基板)にレーザー照射した場合には70mW以下のレーザーでは気泡も発生せず、129mWと高出力のレーザーを照射した場合には細菌はレーザー照射点付近に集積はできますが、集積範囲も狭く生存率も約16%と大半の細菌が死滅していることが分かりました。さらに、図3では各細菌において10mW~70mWの範囲でレーザーパワー変化させ、捕捉した細菌の蛍光染色像から見積もった捕捉密度と生存率の関係を示していますが、緑膿菌、黄色ブドウ球菌いずれの場合も特定のレーザーパワーの範囲で80~90%の高生存率を保ちながら各ハニカム細孔に高密度に捕捉されていることも分かりました。

高密度トラップした細菌の機能評価を行うために電流発生菌の一種であるシュワネラ菌を対象とした実験も行いました。この菌を光集積したハニカム基板を負極とし、Pt基板を正極、参照極にAg/AgClを用いた三極系においてバイアス電圧を印加しながら電流計測をした結果が図4です。シュワネラ菌は有機物を分解して電子放出を行うことが知られており、有機物として乳酸ナトリウムを添加して電子抽出をしやすい環境下(嫌気性条件下)での測定を行いました。各点20秒ずつ逐次的にレーザー照射を行ったところ、照射点の数を25点、50点、100点と増やすと、電流密度が照射点数に伴って1~2ケタの増大を示すことが分かりました。ここでは細胞分裂が起こらない程度の短時間で電流計測を行っており、この電流密度の増大はレーザー照射により高密度集積されたシュワネラ菌によるものと考えられます。

これらの結果は細菌が生きたまま(機能保持したまま)トラップできていることを強く支持する結果であり、細菌の機能を維持しながら高機能な微生物デバイスの開発にハニカム型光濃縮基板を利用できることを示唆する極めて重要な結果です。

なお、本研究は床波 志保 副所長と飯田 琢也 所長によるもので、その指導のもと、栗田 慎也 氏(平成29年度博士前期課程修了)、吉川 諒 氏(平成30年度博士前期課程修了)、櫻井 健司 氏(博士前期課程1年)、末廣 泰地 氏(博士前期課程2年)、山本 靖之 氏(平成30年度博士後期課程修了)は細菌の光濃縮に関する実験を遂行しました。また、床波副所長、栗田氏、吉川氏、櫻井氏は、千歳科学技術大学 Olaf Karthaus 教授の技術指導のもと、ハニカム基板を作製し、田村 守 特認助教と飯田所長は光誘起対流の理論計算で実験結果の解析に貢献しました。

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February 29, 2020 at 03:00PM
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